親の介護では、急な通院や日用品の購入などで、子どもが費用を立て替えることがあります。その場では家族のためと思って支払っても、相続時に説明できないとトラブルになることがあります。立て替えた費用は、早めに記録しておくことが大切です。
介護費用の立て替えは起こりやすい
介護が始まると、予定外の支出が増えます。病院の診察代、薬代、タクシー代、紙おむつ、介護用の衣類、食事、手すりやベッドまわりの用品など、細かな支払いが続きます。
親の通帳や財布をすぐに使えないときは、近くにいる子どもが一時的に支払うことがあります。少額ならそのままにしてしまいがちですが、月単位、年単位で積み重なると大きな金額になります。
立て替えたつもりが贈与のように見えることもある
子どもが親のために支払った費用でも、記録がなければ「本当に介護費用だったのか」が分かりません。あとから兄弟姉妹に説明するとき、領収書やメモがないと、単なる家族間の援助だったのか、返してもらう前提の立替金だったのかが曖昧になります。
相続時に清算したいと考えるなら、支払った時点で記録しておく必要があります。
残しておきたい費用の種類
介護費用といっても、内容は幅広くあります。どの費用を誰が負担したのかを分けて残しておくと、あとで見返しやすくなります。
通院や入院に関する費用
病院の診察代、薬代、入院時の日用品、差額ベッド代、病院までの交通費、駐車場代などは記録しておきたい費用です。特に通院の付き添いが多い場合、交通費だけでも負担が増えることがあります。
在宅介護に関する費用
紙おむつ、介護用手袋、消毒用品、介護食、配食サービス、衣類、寝具、住宅内の簡単な改修なども支出になりやすい項目です。レシートには日用品が混ざることがあるため、親の介護用に買ったものが分かるようメモを添えておくと安心です。
施設に関する費用
施設の入居一時金、月額費用、理美容代、洗濯代、医療連携費、日用品費なども確認が必要です。親の口座から支払っている場合でも、契約者や手続き担当者が子どもになっていると、ほかの親族から質問されることがあります。
領収書だけでなくメモも残す
領収書は大切ですが、それだけでは何のための支出か分かりにくいことがあります。たとえばドラッグストアのレシートには、親の介護用品と自分の買い物が混ざることがあります。
そのため、領収書に「母の紙おむつ」「父の通院タクシー代」などと書き添えると、後から確認しやすくなります。スマートフォンで領収書を撮影して保存しておく方法もあります。
記録に入れたい項目
- 支払った日付
- 支払先
- 金額
- 支払いの目的
- 誰が支払ったか
- 親の口座から返金を受けたか
この程度の記録でも、相続時には大きな助けになります。細かすぎる帳簿を作ろうとすると続かないため、無理なく続けられる形を選びましょう。
親の預金から返してもらう場合の注意点
立て替えた費用を親の口座から返してもらう場合も、記録は必要です。親の通帳から現金を引き出して自分の口座に移すと、あとで「何の支払いだったのか」と疑われる可能性があります。
できれば、領収書やメモと照合できる形で返金の記録を残しましょう。振込で返してもらう場合は、摘要欄やメモに「介護費立替分」などと残すと説明しやすくなります。
現金管理は特に疑われやすい
親が現金で管理している場合、使途が見えにくくなります。介護費用として使った現金は、封筒やノートで管理し、いつ、何に、いくら使ったかを残しておくとよいでしょう。
親族間で不信感が出やすい家庭では、月に一度だけでも支出内容を共有しておくと、相続時の疑いを減らせます。
遺産分割協議で説明できる準備をする
親が亡くなったあと、相続人は財産をどう分けるか話し合います。そのとき、介護費用の立替分をどう扱うかが問題になることがあります。
記録があれば、「この費用は親のために支払ったものです」と説明できます。記録がなければ、ほかの相続人が納得せず、話し合いが長引くことがあります。
介護費用の立て替えは、家族だからこそ曖昧になりやすいものです。将来の相続手続きを見据えるなら、支払ったその日に記録を残す習慣をつけておきましょう。





